新年のご挨拶

動物介在教育・療法学会 理事長 柿沼 美紀

 

 新年あけましておめでとうございます。本学会の会員の皆さまにおかれましては、

ご健勝にて新年を迎えられたことと心からお慶び申し上げます。

 旧年中は,本学会の事業活動にご理解とご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 

 ウィーンにあるシェーンブルン動物園は1752年に設立された世界で最も古い動物園です。

同じ頃、ベルサイユ宮殿にも動物園は設立されており、当時ヨーロッパの貴族の間では珍獣を

集めるのが流行していたことが伺えます。

庶民の楽しみとしても珍獣の巡業が人気だったようで、サイのクララは20年もの間ヨーロッパ各地を

移動していました。1746年にウィーンに立ち寄った時はマリア・テレジアもクララを見に来たと言われています。

 18世紀に始まった動物園ブームは100年のうちにヨーロッパ各地にそして130年後には

日本やアメリカにまで波及しています。

19世紀終わりにはドイツ人のサーカスのオーナーで動物商だったカール・ハーゲンベックが

ヨーロッパ各地の動物園に多くの動物を提供していました。

日本で最初の動物園である上野動物園もライオンやホッキョクグマ、ダチョウ,キリンなどを購入しています。

 当時の輸送や飼育技術を考えると、人々が動物園にかけたエネルギーはとても

大きなものだったと言えます。技術的、経済的に余裕ができると人は珍しい動物を集めたり

見せたりしたくなるようです。その点では動物園は国の力を反映していると言えます。

日本では明治維新後に、アメリカでは南北戦争後に国立の動物園が設立されています。

経済発展が目覚ましい中国では近年大型のサファリや教育施設として充実した動物園が設立されています。

一方で、アジアにはまだ動物園のない国や地域があります。

途上国の子どもたちが日本の動物園でキリンやライオン、サイなどを間近に見ると大きな衝撃を受けるようです。

 大型の珍しい動物は外交の道具としても頻繁に使われてきました。

日中国交回復の記念に送られた上野動物園のジャイアントパンダや終戦直後に

タイから贈られた井の頭動物園のアジアゾウの花子は当時の子どもたちに大人気でした。

19世紀末には何度かの外交交渉を経て珍獣と言われたシフゾウが清の国から上野動物園に贈られています。

 

 なぜ人はそれほどにも動物を集め、見せる、あるいは見ることに魅入られるのでしょうか。

そこには人が進化の過程で獲得した特別な能力が関係しているようです。

当たり前のことと思われがちですが、人は他の動物に強い関心を持ち、エサを与え自分の近くに置きたがります。

これは他の大型霊長類にはない特徴です。このような特徴があったからイヌやウマの家畜化、

その後は牛や羊などを家畜として飼育できるようになりました。

人が今の生活水準を維持できるのもこういった動物に対する強い関心があったからと言えるでしょう。

 本学会で取り組んでいる動物介在教育や療法もこの動物に対する強い関心や好奇心を活用したものと言えます。

動物の介在が教育をより充実したものに、あるいは単調になりやすい療法を楽しいものへと変えてくれます。

日本における動物介在教育や療法はまだ歴史が浅く、試行錯誤の状態にあります。

学会員の皆様には、五年後、十年後に目を向けて、今後も社会に貢献していただきたいと思います。

 最後になりますが,会員の皆様方の本年のご活躍とご発展,ご多幸をお祈りし,新年のご挨拶とさせていただきます。

 

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シェーブルク動物園の象舎

 

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広州の香江野生動物世界 サファリエリアのフラミンゴ

 

親は子どもを連れて動物園に

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ドイツ ライプチッヒ動物園

 

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広州 香江野生動物世界

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