特定非営利活動法人

動物介在教育・療法学会

Asian Society for Animal-assisted Education and Therapy

ASAET

理事長挨拶


新年度のごあいさつ 持続可能な体制構築を目指して


2021年2月の総会で理事長に就任した柿沼美紀です。

今回で5期目になります。土田あさみ副理事長と森茂樹事務局長で持続可能な学会体制を構築し、次の世代につなぐことを目標に前進していきたいと考えておりますので、みなさまにもぜひ積極的に学会運営に関わっていただきたくお願い申し上げます。

認知心理学者マイケル・トマセロの考え方に、累積的文化進化、あるいはラチェット効果という考え方があります(『ヒトはなぜ協力するのか』2013年)。ヒトは他の動物と違い、次の世代に前の世代が累積したものを伝えていくというものです。そして、そのためにヒトは進化の過程で協調する能力を身につけました。チンパンジーやボノボの子どもとヒトの子どもを比較すると、ある時期まで運動能力や数の概念などに差はなくても、協調能力に関してはヒトの発達は際立っています。この機能があるからこそ、私たちは積極的に情報交換をし、協力しあうのです。

今回のコロナに関しても、状況が分からない頃から、自分の命をかけても世界に危機を発信する医師がいて、献身的に治療に当たる医療関係者がいます。そしてもっと時間がかかると当初思われていたワクチンも複数開発され、やがてパンデミックの収束の可能性も見えてきました。ヒトはこのように生き延びるために、積極的に情報を共有し、協力します。学会の使命も、共に研究をし、情報を共有し、社会に発信していくことです。国際的にも動物介在教育や療法、対象者の人権、そして動物福祉の考え方もこの半世紀の試行錯誤で大きく変わってきました。本学会も日本におけるより良い動物介在教育や療法のあり方を考え、普及するために発足し、欧米の考え方を参考に、学術並びに普及啓発を通して日本の社会に寄り添う形を模索してきました。

次の2年間は、会員の皆さんと協力し、構築し、より良い動物介在のあり方を作り上げていくのが、本学会の任務だと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

ASAET理事長 柿沼 美紀



このたびの新型コロナウィルスに罹患された皆様と、感染拡大により生活に影響を受けられている地域の皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。

日本に緊急事態宣言が発令されて1ヶ月がたち、さらに5月末まで延長されることになりました。今や全世界の人が共通の脅威にさらされて日々の生活を送っています。これまでにも地球上では常にさまざまな天災、飢饉、疫病、そして戦争が発生しています。しかし、誰もがほぼ同時期にその危険に晒されるということはありませんでした。自分たちが当事者であっても、安全な地域の人が手を差し伸べてくれる、あるいは、戦争であればて敵と味方がいて、同じ戦禍でも物の見え方は異なっているなど、立場はさまざまでした。

新型コロナウイルス感染症対策として世界規模で行動制限や自粛がされている中、遠方の家族の元に帰る、友達と会う、遠出をする、買い物をするといった規則を逸脱する行動が問題になっています。差し迫った脅威が見えない中での行動制限下では、自分だけは大丈夫と言った「正常性バイアス」が働きやすいのかもしれません。一連の「問題行動」は、ヒトがいかに社会的で、家族を軸に生活し、探索好きで、コミュニケーションが得意な動物であるかを表していると思います。

現在私たちが直面している脅威は、人が進化の過程で育んできた「社会性」という機能を大きく制限しています。一方で、私たちはそれを克服する手段を見つけ、お互いを支えあうようになっています。全世界で医療関係者だけでなく、社会機能を維持している人たちへの感謝の表明や、STAY HOMEを支えるための情報発信も増えてきています。

人類初と言えるこの共通の体験は私たちの行動をどのように変えるのでしょうか。終息宣言が出された時、世界中の人たち皆が一緒の安堵することができます。そして家族や社会的接触の意味や、外に出て探索し、コミュニケーションをとることの意義を同時に体感することでしょう。

学会としても今年の前半の活動は休止あるいは、web配信などになります。10月の学術大会は対面とwebでの開催予定です。それまでは社会的距離を保ちながら、共に支え合い、この危機を乗り越えましょう。

理事長 柿沼 美紀